一口に外資系と言っても、それぞれの企業の特色は様々で、一概に語る事はできません。
ただ、私が経験したアメリカ系企業とヨーロッパ系企業では、ある意味アメリカとヨーロッパの文化の違いや考え方の違いをよく表しているのではないかと思います。
そこで、今回は、私の経験したアメリカ系企業とヨーロッパ系企業の違いについてご紹介したいと思います。
外資系企業のキャリアの考え方
GEを代表とするアメリカ系企業は、とてもキャリア志向が強く、仕事を変える頻度が高いです。
極端な話、プロジェクト単位で人を集め、そのプロジェクトが終われば、直ぐに次の会社に移っていくということもあります。
アメリカ系企業においては、仕事の内容(job description)が明確で、仕事に対しての属人的要素が薄いため、そのポジションに合致する能力がある人は直ぐにその仕事を引き継ぐ事が出来ます。
一方、ヨーロッパ系企業は、アメリカ系企業と同様にjob descriptionで仕事内容は明確に定義されていますが、アメリカ系に比べスペシャリスト志向が強いのが特徴です。
ヨーロッパでは、マイスター(職人)と言った考え方が根付いている為か、一つの分野に特化したキャリアを持つ人を優遇する傾向があります。この為、アメリカ系企業に比べ転職する人は少ないです。
この様な文化の違いから、日本の文化に比較的近いのはヨーロッパ系企業と言えるでしょう。
逆にアメリカ系企業が、よく映画やドラマで見られる様な外資系のイメージとなります。
外資系企業のお給料
アメリカ企業とヨーロッパ系企業の働き方やキャリアについての考え方の違いは、お給料の違いにも繋がります。
外資系は年俸制ですよね?と聞かれることがありますが、本当の意味での年俸制を採っているのは、アメリカ系企業です。
平均勤続年数が少なく、会社を移っていくことが多いアメリカ系企業では、文字通り給料は年契約。
それなりの給料を払わなければ、有能な人を集めることが出来ないですし、有能な人を引き止める事もできません。
その為、アメリカ系企業の給料は一般的に非常に高くなります。
一方、ヨーロッパ企業ですが、先にも述べたようにスペシャリストが優遇されます。その為、離職率も低いですし、スペシャリストに要求される能力や経験を取得するには時間がかかる為、給料の上昇も比較的緩やかになります。
私の経験した転職では、ヨーロッパ企業からアメリカ企業に移った際には、一気に250万円給料が上がりました。
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その当時の上司曰くは、そのポジションに見合う給料を払うだけで、その仕事ができるのであれば、前職での給料は関係ないと言った事を仰られていました。
この段階で、社会人として目標としていた「一本(年収1,000円)」を達成出来たのですが、一気に給料が上がった事で気が大きくなり、お金を使い過ぎてしまい全く貯蓄できませんでした。
お金を使う事にはすぐ慣れますが、倹約する事はなかなか出来ないので、この様な急激な収入の上昇は、あまり人の為にならないなと学んだ出来事でした。
外資系企業の安定性
アメリカ系企業では、人は転職していく前提で組織ができているため、アメリカ系企業は非常にドライな印象を受けます。
よく映画などで見られる、成果主義で直ぐに首切られると言ったイメージはアメリカ系企業をモデルにしています。
自分がアメリカ系企業に入るまでは、本当にそんな事があるとは思っていなかったのですが、アメリカ系企業では本当に首切りで次の日からパソコンに触ることも許されない、という事も本当に起こります。
私が入社した時も、所属する部署の人は入社7年以内の人ばかりでした。
理由を聞くと、7年前にセールスヘッドの「営業、総替えだ!」の鶴の一声で、ほとんどの人がクビになったそうです。
私は2年、クビにならずに勤務し、転職しましたが、今では私の知っている人は誰も残っていません。
この様に聞くと、外資系に対する雇用の安定性に不安を覚えるかもしれませんが、ちゃんと仕事をしていれば、そんな事は無いですし、その分高い給料を貰っていると思えば当然かもしれません。
一方、ヨーロッパ企業では、そこまでドライな雇用環境は見られません。
その人の専門性を重視するヨーロッパ系企業では、属人的な経験や知識を重視する傾向があります。この様な能力主義は、日系企業に通じるところがありますが、年功を重視する日系企業とは、ヨーロッパ系企業では異なります。若くても、能力次第では出世していける環境がヨーロッパ企業にはあります。
この様に、アメリカ企業とヨーロッパ系企業では、雇用の安定性という意味では大きく違います。
本当に安定を望むのであれば、アメリカ企業よりもヨーロッパ系企業の方がお薦めですが、外資系企業は買収や事業売却など日系企業に比べ活発です。
私自身、一社目の会社は買収されましたし、今回は事業売却されようとしています。
その為、安定を望む人には外資系企業は向かないのかもしれません。
ただ、サラリーマンをやってる限り、どの会社にいても本当の安定はありませんので、どこに居ても求められるスキルを身につける事が大切です。
結構重要な本社との時差
外資系企業に勤めるからには、本社と連絡を取る必要があります。
この為、本社との時差は、結構重要になります。
ヨーロッパ系企業では、日本との時差が7、8時間であるため、本社の始業時間が日本の夕方となります。
この様に就業時間がかぶる為、直接コミニュケーションを取ることができ、非常に楽です。
アメリカ企業では、日本との時差が東部で13、14時間です。ちょうど、日本とは昼と夜が逆になります。
就業時間がかぶる事がない為、電話会議などは日本の夜中に行われる事が多いです。夜の9時や10時からの電話会議では自宅から出ることが多かったです。
西海岸との時差は、16、17時間です。これだけあると、日本の朝がアメリカの夕方となります。
お酒についての考え方
仕事とは全く関係のない事ですが、アメリカ企業とヨーロッパ系企業で、私が全く違うなと感じたのは、お酒に関しての考え方の違いです。
ヨーロッパでは、お酒に関しての考え方は非常におおらかです。
流石に今は、そんな事は無いですが、私が働き出した時位は、たまにお昼ご飯の時にビールを飲んだりすることもありました。また、来客用のゲストキャンティーンではワインを飲むこともできました。
今はお昼から飲むことは無くなりましたが、今のオフィスにはバーカウンターがあり、就業時間後に皆でワインを飲んだりする事はあります。
これに対し、アメリカ企業はお酒に対して非常に厳しいです。アメリカではアルコール依存症が社会問題の一つとしてある事に関係するのだと思いますが、私のかつて所属したアメリカ系企業では、オフィスにお酒を持ち込む事すら禁止されていました。
アジアリージョン
ここでは私のかつて勤務した事のあるアメリカ企業とヨーロッパ系企業の話をしてきましたが、今後はアジア系企業も出てくるでしょう。中国系やインド系、その他ASEANの企業も日本に進出してくる事もあると思われます。
ただ、アジア全体を見た場合、日本市場はそれほど魅力的ではありません。人口減少や高齢化社会、低成長率で日本の市場規模は将来的に縮小して行くからです。
この為、アメリカ企業やヨーロッパ系企業もアジアリージョンにおける本社機能は日本に置かず、中国や香港、シンガポールなどに置くことが多いです。外資系企業に勤めるということは、アメリカ人やヨーロッパの人達だけで無く、中国をはじめとするアジアの人達とも一緒に働くことになります。
その為、日本の常識は通用しませんし、日本が中心といった考え方も通りません。
国籍など関係なく、多様性を受け入れる人は外資系に向いています。
まとめ
如何だったでしょうか?
一概に外資系企業といっても、アメリカ企業とヨーロッパ系企業とでは、企業文化は大きく異なります。
ただ、どんな企業に入るにせよ、外資系企業に勤務する限りは、日本の常識は通用しないという覚悟は必要です。
どこの国の人とでも、分け隔てなく付き合える。この様な多様性を受け入れ、楽しむことのできる人は、是非外資系企業への転職を考えてみては如何でしょうか?
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